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『旅少女』は、青春18きっぷのポスターを、アラーキーこと荒木経惟(あらき のぶよし)さんが撮影した写真集です。平成3年(1991年)夏シーズンから平成6年(1994年)春シーズンにかけて、合計9回にわたり撮影したものを、1996年12月10日に出版しています。
青春18きっぷのポスターに使われた写真の数は、多くて8枚ほどですが、この写真集は約190ページにわたって、たくさんの写真が掲載されています。
このサイトは、9人の旅少女がおりなす情緒たっぷりのこの写真集を、青春18きっぷのポスターやチラシと対比させながら解説します。
残念ながら写真集の中身はお見せできませんので、興味のある方は是非ご購入ください。

左の写真をクリックすると拡大します。


第一話  純子 ― 唐津のホームシック

●平成3年(1991年)夏シーズン
○キャッチコピー・・・・ 誰も私を知らない。
○モデル・・・・ 小田井純子
○撮影場所・・・・ 筑肥線・唐津線

メインの大きい写真は、唐津線の相知駅で撮影されたものです。『旅少女』では、同じようなアングルで撮影されていて「うちを出て、「おうち」についた」というコメントまで入っています。相知駅の駅舎は1995年に建て替えられていますが、写真集では古い木造の駅舎が写っています。

他に四隅に小さい写真が載っていますが、左上は、唐津のお花屋のおばさんの写真です。右上は、筑肥線を走っている列車の車内で撮ったものです。下に行って、左が旅館(恐らく唐津市街)近くで下駄履きで撮ったもの。右は、西唐津の駅から近い西ノ浜で撮影した写真です。

 

第二話  美歩 ― 清里童話

●平成3年(1991年)冬シーズン
○キャッチコピー・・・・ この町とヒミツをつくる。
○モデル・・・・ 木内美歩
○撮影場所・・・・ 小海線

この時モデルだった木内美歩さんは、1995年に木内美穂と名前を改め芸能人と活躍していましたが、その後ライブドアに入社して、退職後はテレビ番組制作会社の取締役として本名で活動しているそうです。

このチラシは、前作に比べると、使用した写真も厳選の2枚だけで、大衆的なきっぷのイメージとは裏腹に、芸術性がにじみ出ている作品だと思います。特に大きい方は、アラーキに限らす歴代のポスターやチラシの最高峰と位置づけます。 車内や駅に掲示されたポスターでは、小海線の気動車の車内で撮影された木内美歩さんが使われていますが、これがまた旅情を誘うポスターで、ゆうゆうのイチオシです。
すました大人顔が印象的な木内美歩さんですが、当時はまだ15歳。『旅少女』では、あどけなさが残っているシーンも楽しめます。他の見どころとしては小諸駅周辺や清里の草原や林。松原湖での幻想的な写真もお勧めです。

 

第三話  由美恵 ― 眠れる宮崎の王子

●平成4年(1992年)春シーズン
○キャッチコピー・・・・ ちがうにおいのする町。
○モデル・・・・ 小林由美恵
○撮影場所・・・・ 日南線

小林由美恵さんは、栃木銀行キャンペーンガールとしてデビューしたモデルさんです。ソニー 花王 マクドナルド 全日空 NTT移動通信 コカコーラ 資生堂と名だたる企業のCFに出演していました。

大きな写真の方は日南線の北郷駅で、下の写真は油津駅から近くの油津漁港です。 「旅少女」の写真には、油津の町並の他にも、飫肥(おび)の町並みも撮影されています。海岸で撮影した小林由美恵さんがとても魅力的です。

 

第四話  佐知子 ― 急性青森スキスキ病

●平成5年(1993年)春シーズン
○キャッチコピー・・・・ あれ、自分が人見知りだってコト、忘れてた。
○モデル・・・・ 宮川佐知子
○撮影場所・・・・ 東北本線・奥羽本線・大湊線

モデルさんの素性はわかりませんでした。撮影は、青森を基点に、八甲田、萱野(かやの)高原、酸ヶ湯(すがゆ)温泉、弘前と行き、2日目は、野辺地(のへじ)から大湊線で、下風呂(しもふろ)温泉、恐山と撮影しました。大きな木の写真は萱野高原ですが、「旅少女」では、広い草原が写っている写真もあります。鏡台とハミガキの写真は、弘前の石場旅館です。創業者は元々は侍で、商売で得た金を使い、明治12年に小間物屋と旅籠を兼ねた店を始めたのがいきさつだと云う事です。戦時中に空襲から逃れた弘前だからこそ、老舗の和風建築旅館が残っています。

 

第五話  薫 ― キスして根室

●平成4年(1992年)冬シーズン
○キャッチコピー・・・・ 寝坊したら、すごくソンした気がした。
○モデル・・・・ 井出薫
○撮影場所・・・・ 根室本線・訓網本線

井出薫さんは東京都出身の元女優です。ドラマや映画と同時に数多くのテレビCMに出演していて、今でもYouTubedで見る事ができます。撮影は、釧路を拠点として、根室本線は、門静、花咲、根室。一方訓網本線では、川湯温泉駅から養老牛温泉(ようろううしおんせん)に行きました。写真の露天風呂は、無料混浴「からまつの湯」です。「旅少女」には、からまつの湯のカットが6コマあります。必見です。第四話まではすべてモノクロ写真でしたが、この第五話からカラーの写真が入っています。

 

第六話  愛子 ― 若狭湾に行ったネコ

●平成4年(1992年)夏シーズン
○キャッチコピー・・・・ 「出会い」なんてコトバ、古くさいと思ってた。
○モデル・・・・ 柳原愛子
○撮影場所・・・・ 小浜線

旅少女を柳原愛子をウィキペディアで調べると、第六話の柳原愛子にリンクが張ってあって、移ってみると歌手や女優として紹介されています。これが旅少女の愛子なのか疑わしく思いましたが、写真やYouTubeで確認して、間違いないと確信しました。小浜線は、唯一すべての駅を降りつぶした路線ですので、一番興味がある写真集です。「旅少女」には、十村駅がカラーでバッチリ写っています。どうも違和感があると思ったら、壁だけ木造からサイディングに変わっていました。このチラシでは、水着の恰好が一枚だけありますが、「旅少女」では小浜海岸で撮影した違う格好の写真があります。ウィキペディアには「荒木が女性を撮った作品としては、彼独特とされるエロスの要素は極めて少ない。」とありますが、第五話といい第六話といい、案外本性が顔を出してきたのではないでしょうか?

 

第七話  麻帆 ― 男鹿のけっこういい女

●平成5年(1993年)冬シーズン
○キャッチコピー・・・・ この街で育ったら、どんな私になっていただろう。
○モデル・・・・ 高井麻帆
○撮影場所・・・・ 奥羽本線・男鹿線

高井麻帆を検索すると、壁紙や待ち受けがヒットします。写真集を出している様なのでアマゾンで調べたら「magic―高井麻帆写真集」が出てきました。中古で1円から販売しているのでビックリしました。その他にも、いわゆるセミヌードですが、きわどい写真がインターネットに出回っています。「旅少女」にも入浴シーンが一枚あって必見です。20ページある写真集は最後の3ページだけカラーになっていて印象的です。そして最後のページの最後の写真を見て目を疑いました。そこにはナント50系の客車が写っているのです。麻帆さんの後ろで被写界深度が浅いので、かなりボケていますが、色といい形といいまず間違いがないと思います。青春18きっぷのポスターに写っている列車はほとんどが気動車で、客車は一度も登場しません。青春18きっぷが生まれてから客車鈍行がなくなるまでは19年間あったにも関わらず、一度もコラボがなかった事は逆の意味で奇跡に近かったと思います。もし、この写真が流出していれば、列車の旅=客車という定義が今も存在していたと感じます。


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